日本で唯一の耐火物に関する公的研究機関、耐火物・高温セラミックスの研究を中心、 産学官連携共同研究、測定・分析、施設・機器利用、技術交流、人材育成、情報提供

運営:一般財団法人岡山セラミックス技術振興財団
〒705-0021 岡山県備前市西片上1406-18

研究テーマ

耐火物やセラミックスに関する研究開発及び委託開発を行います。

耐火物などの高温材料に関する研究開発を行っています。主テーマとして新規原料、組織制御技術、複合材料特性、高温反応解析、新規評価技術などの研究開発を推進するとともに、企業や公的機関等からの委託研究にも取り組んでいます。

研究テーマ【2025年度】

自主研究

1 耐火原料と水素との反応性評価

水素還元製鉄技術の開発に伴い、水素雰囲気での使用が予想される珪石質、アルミナ-シリカ質れんがおよびその他主要なれんがの構成成分原料と水素との反応性を調査するため、各種耐火原料(ろう石、バン土頁岩など)および夾雑成分(Na2O、K2O)の水素雰囲気加熱中での暴露試験を実施する。

2 水素キャリアにおける通気率測定装置の開発

鉄鋼産業での水素還元製鉄技術の確立に向け、製鉄プロセスで用いられる耐火物において水素への対応が必要となっている。前年度、水素ガスによる通気率の測定が可能であることは見出したが、測定作業上の煩雑さが解決されていないため、定常的な水素ガス通気率の測定が可能となるようなシステムの構築をめざす。

3 超高速加熱炉による熱伝導率測定技術の確立
 Al2O3のような低熱伝導(10W/mK程度)の材質であれば、超高速加熱炉で熱伝導率を測定可能であることが分かった。そのため、さらに低い熱伝導率を示す断熱材の評価が可能であるか否かを検討する。
測温は、装置に設置されている2色式放射温度計で実施してきたが、この結果を検討すると温度が高く評価されている可能性があること、および測定箇所で温度差があることなどが明らかとなった。温度を正確に把握するために熱電対を用いた再実験を行い、その結果と放射温度計での結果との比較検討を行うことで熱伝導率測定技術の確立を図る。
4 非鉄金属とれんがとの濡れ角測定
 非鉄金属の製造に使用されるれんがも製鉄プロセスと類似した課題が多く存在する。そのため、これまでと同様に超高速加熱炉を用いて、非鉄金属とれんがとの濡れ角のデータを取得すれば、濡れ性の評価ができると思われるが、非鉄金属はSS400等の鉄系とは異なり、表面酸化膜のために完全溶融が困難である場合が多い。ここでは、表面酸化膜の除去を行い非鉄金属とれんがとの濡れ角測定を可能にする方法を検討する。
5 耐火度測定の高機能化(1850℃以上対応)
 耐火物の使用環境の過酷化がより一層進む状況下において、最も重要である耐火度試験においても、さらなる高温域での測定の要望が増してきている。  このため、高耐熱炉の整備、バーナーの最適化を図り、1880℃(SK39)以上の耐火度測定を実現し、熱画像カメラを用いて経過を記録することで、試験結果を画像提供できる技術開発を行う。

受託研究

1 耐火物の熱間機械特性-れんがの弾性率変化とその他諸特性との関係-
                                 助成金研究/耐火物技術協会
 耐火物の使用環境の過酷化(より高温度での使用)が進む中で、最も重要である耐火性の評価項目である耐火度試験においても、高温域での測定要望が増加傾向にある。そこで、耐火度試験用高耐熱炉の整備、専用バーナーの最適化を通じて1880℃(SK39)以上の耐火度測定の実施と(作業者の目視に頼らない)熱画像カメラを用いて、測定中における試料の状態変化を動画記録することで判定することを試みる。
2
高機能耐火材料の研究開発並びに高温特性の新評価技術の確立
(1)高機能耐火材料の研究開発
                         特別電源所在県科学技術振興事業/文部科学省

① 高機能耐火材料の研究開発
・材料の低コスト化ための炭素源などの検討 
 誘導炉は、バッチ式による合成法と比較して少ないエネルギーで合成が可能であることから、Al4SiC4を始めとする複合炭化物の合成に適した手法であると言える。しかし、均質合成を行うには、合成量、出力条件および合成時間といった多くのパラメーターの最適化を行う必要があることから、Al4SiC4の単相合成が得られる条件出しを行い、その条件を基に、Al-B-C系の低コスト化の合成も試みる。
原料を純度の高い黒鉛、Me-Al、Me-Siに、選定装置の出力プログラムの初期値は35kWとそれぞれ固定し、保持時の出力を段階的に低下させる試行錯誤の試験を実施し、最適条件を模索する。単相が得られる条件が決定した場合は、次に、Me-Siをシリコンスラッジ、黒鉛を活性炭集塵紛のリサイクル原料に変更して研究開発を進める。

3 高機能耐火材料の研究開発並びに高温特性の新評価技術の確立
(2)
高温特性に係る新評価技術の確立
                         特別電源所在県科学技術振興事業/文部科学省
 ②高温特性に係る新評価技術の確立
・新たな耐食性評価技術の検討
 ろう石れんがの緻密層におけるCOガス腐食の程度を確認し、ガス透過性を低減することがCOガスによる腐食に効果的であることを明確にする。これを明確にした後、SK34を対象とし、試料内部へ侵入するCOガスを抑制する処理を施す。処理方法としては、①高温焼成による酸化鉄の無害化、②高温焼成による組織の緻密化の2方法を検討する。これらの処理を施したれんがと無処理のれんがとを新設した合成ガス炉システムにてCOガス雰囲気中で熱処理を行う。本実験から得られた結果と前年度までの結果とを比較し、れんがの延命の可否を判断する。
4 企業からの受託研究
 激しさを増す国際競争に即応できる技術開発が企業から求められる中、このニーズに直接応える受託研究は、重要な支援活動と位置付けられる。また、近年、化学、非鉄金属、プラントメーカーなど耐火物産業以外からの受託研究業務も積極的に実施している。
 従来に加えて、今後、財団の新規合成原料を用いた耐火物の機能強化や開発・新設装置などを活用した耐火物の反応評価など他所ではできない研究の受託を模索すると共に、耐火物関連産業が他分野へ進出するために行う共同研究などをより一層、内容を高度化することで顧客満足度を高め、産業振興に貢献していく。

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