耐火物やセラミックスに関する研究開発及び委託開発を行います。
耐火物などの高温材料に関する研究開発を行っています。主テーマとして新規原料、組織制御技術、複合材料特性、高温反応解析、新規評価技術などの研究開発を推進するとともに、企業や公的機関等からの委託研究にも取り組んでいます。
研究テーマ【2022年度】
自主研究
1 | 一軸拘束下における応力挙動の調査及びれんが構造体としての応力解析技術の確立 |
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製鉄炉などで高温にさらされる耐火物の劣化原因として熱応力の影響が大きいとされている。その影響を科学的に解明するため、一軸(上下軸)拘束下において熱応力の挙動を調査し、解析手法の確立をめざしている。今年度は、モルタル目地の熱応力挙動について、より詳細な知見を得ることを目的として、試験用モルタルを設計し、材料組成やバインダー構成による熱応力挙動への影響を調査する。各種画像解析手法の適用を検討し、解析手法の確立を目指すとともに、応力挙動と組織変化の関係を調査する。また、熱応力に加えて、加熱並びに、冷間および中間温度域での応力の影響を調査して、モルタルの挙動を多角的に調査する。 |
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2 | 断熱れんが等に代表される低強度耐火物の曲げ強度測定技術の確立 |
耐火物の中でも不均質性の高い不定形耐火物及び断熱れんがを対象に耐火物としての機械的特性を測るための技術の確立をめざしている。JIS規格の3点曲げ試験は、得られるデータにばらつきが顕在することから4点曲げ試験との比較検討を実施し、耐火物の中で低強度といわれる不定形耐火物や断熱れんがにおける4点曲げ試験の有用性を明らかにすることで、試験方法を確立する。 |
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3 | 超高速加熱装置の高機能化-高精度な熱伝導率測定機能の付加(委託先 日鉄テクノロジー) |
昨年度、超高速で均一に加熱ができる評価試験装置(超高速加熱装置)を共同開発し、その装置を用いた接触角測定に関する技術確立を図った。 今年度は、接触角を自動でリアルタイムに測定できる機能の付加を行い、実験効率と測定精度を高める。 また、1台で複数の試験が高精度に行える装置(マルチ評価装置)として仕上げるため、熱伝導率測定機能を付加することとしている。熱伝導率は、測定結果にばらつきが生じるなどの課題があったが、前年度にこの打開策について専門家からの助言を受けて目途が立ったことから装置メーカーの協力を得て技術の確立を図り、これを実機に導入して超高速加熱装置の機能の充実を図る。 |
受託研究
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1850℃以上における耐火物原料の耐火度測定の試み(新規) 助成金研究/耐火物技術協会 |
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鉄の溶融温度は1500℃以上であり、耐火物は極めて過酷な条件で使用される。耐火物の軟化特性は、クリープ特性、荷重軟化温度および耐火度(溶倒試験)などで評価される。 その中で耐火度は、新たな製造環境に適した材料であるか否かの判断を素早く判断できる重要な手法とされる。しかしながら、炉の設計において重要である耐火度測定法は、1959年にJIS規格が制定されて以来、ほとんど見直しされず、測定者の経験に頼るところが大きく、危険の伴う作業となっている。一方で、1850℃以上の耐火度の測定要望が増えており、今後、耐火度測定の需要が増えることを考慮し、自動化による安全且つ簡便で精度の高い装置開発に着手する。 |
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高機能耐火材料の研究開発並びに高温特性の新評価技術の確立 (1)高機能耐火材料の研究開発 特別電源所在県科学技術振興事業/文部科学省 |
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アルミニウム(Al)は、地殻中に多量に存在し、Alを含む複合炭化物は、熱間強度などに優れており高機能耐火材料として有望視されている。 |
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3 |
高機能耐火材料の研究開発並びに高温特性の新評価技術の確立 (2)高温特性に係る新評価技術の確立 特別電源所在県科学技術振興事業/文部科学省 |
1)COガスによる耐火物の腐食試験技術の確立 炉の外側(鉄皮側)に使用されることが多く、溶鋼漏れ事故防止の砦となるパーマれんが(粘土質れんが)は、COガスに長期間晒され、炭素析出による崩壊で損傷すると言われている。しかし、COガスが危険性ガスであることから、これまで腐食メカニズムを高精度に解析することは困難であった。前年度 新たに整備した「合成ガス炉システム」や「ガス分析計」を用いることで、腐食進展の再現実験や解析が安全に行えることとなり、これまでほぼなされていないパーマれんがの解析を積極的に行い腐食試験技術の確立をめざす。 また、解析を進めて耐腐食性に優れたパーマれんがの開発に向けた取り組みを始める。 2)超高速加熱技術による高温評価技術の開発 耐火物は溶損および損傷により炉の寿命が決定する。溶損に関しては接触角の測定が有効な方法であり、超高速加熱装置を利用することで、これまで1日1試料しか測定できなかったものが、20試料以上測定でき、各種観察装置(熱画像カメラ、温度画像カメラなど)による記録保存が可能となったことから、データベース化を図る。また、損傷メカニズムを求めるために、まず、熱伝導率に注目し、レーザーフラッシュ法による測定結果と超高速加熱炉から算出される熱伝導率の差異の要因と考えられる炉内におけるエネルギー移動の解析を行うとともに、試料における熱分布も正確に測定を行い高精度な熱伝導率測定技術の確立を図る。 |
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4 | 企業からの受託研究 |
激しさを増す国際競争に即応できる技術開発が企業から求められる中、このニーズに直接応える受託研究は、重要な研究活動と位置付けている。近年、受託研究業務を積極的に実施しており、より一層の内容充実と高度化を図って顧客満足度を高め、産業振興に深く貢献していく。 |