耐火物やセラミックスに関する研究開発及び委託開発を行います。
耐火物などの高温材料に関する研究開発を行っています。主テーマとして新規原料、組織制御技術、複合材料特性、高温反応解析、新規評価技術などの研究開発を推進するとともに、企業や公的機関等からの委託研究にも取り組んでいます。
研究テーマ【2023年度】
自主研究
1 | Al2O3-SiO2系耐火物の炭素沈着試験後試料の解析 (連携先 岡山大学惑星物質研究所) |
---|---|
耐火物損傷の要因である炭素沈着現象の詳細調査を行うため、微小部組織の観察、鉱物相同定によって反応のメカニズムの知見を得る。また、組織の変化,影響について知見を得るための解析を行う。 |
|
2 | 超高速加熱装置の高機能化—セラミックス及び耐火物の熱伝導率測定(委託先 日鉄テクノロジー) |
超高速加熱装置の高機能化を目的に、熱伝導率測定技術の高精度化を図っている。前年度実施したアルミナセラミックスを用いた試験で、熱伝導率測定法のひとつであるレーザーフラッシュ法に近い結果を得ることができたことから、炭化ケイ素試料などでの測定も行い、結果の検証,改善点の調査,改善を図ることで、耐火物及びセラミックスの現状の上限温度を超える高温での熱伝導率測定技術を確立する。 |
|
3 | H2キャリアによる通気率測定装置の開発(新規) |
カーボンニュートラルに向けて、水素還元製鉄の取り組みが始まっており製鉄に用いられる耐火物に水素への耐用が求められている。 その中で、水素ガスを用いた耐火物の通気率評価が必要不可欠となっているため、財団保有の機器を改良することにより、水素による通気率測定を可能とする装置開発を行う。 |
受託研究
1 |
非鉄金属とれんがとの濡れ角測定 (新規) 助成金研究/耐火物技術協会 |
---|---|
非鉄金属の製造に使用されるれんがも製鉄、製鋼と類似した課題が多く存在する。そのため、これまでと同様に超高速加熱炉でデータを取得すれば問題解決できると思われるが、非鉄金属は、表面酸化膜のために完全溶融が困難である。ここでは、表面酸化膜の除去を行い非鉄金属とれんがとの濡れ角測定を可能にする。 非鉄金属としてAl、TiおよびCuを選択し、H2含有Ar雰囲気中で熱処理し、酸化膜の還元を試みる。また、試験温度は、融点付近が好ましいが、確認までに酸化物融点までの加熱も視野に入れる。以上の方法で、非鉄金属の溶融に成功した場合は、Al/Si3N4、Al/Al2O3、Ti/CaO-ZrO2、Cu/MgO-Cr2O3といったれんがと各種金属との濡れ角を測定する。 |
|
2 | |
高機能耐火材料の研究開発並びに高温特性の新評価技術の確立 (1)高機能耐火材料の研究開発 特別電源所在県科学技術振興事業/文部科学省 |
|
1)材料の低コスト化のための炭素源などの検討 |
|
3 |
高機能耐火材料の研究開発並びに高温特性の新評価技術の確立 (2)高温特性に係る新評価技術の確立 特別電源所在県科学技術振興事業/文部科学省 |
1)新たな耐食性評価技術の検討 COガスによる耐火物の耐食性について、化学組成(SK34-38)やれんが種(MgO-Cr2O3系れんがやMgO系れんが)を変更し、亀裂や炭素析出の変化について調査する。本研究の成果により、ASTM(アメリカを中心とした国際標準化・規格)よりも詳細に比較検討可能な評価法を確立する。 2)銑・鋼・滓と耐火物の接触角測定技術 超高速加熱炉において水素ガスあるいは水素含有雰囲気下でも耐火物の接触角や熱伝導率など高温特性を測定できる環境を整える。これまで、水素あるいは水素含有雰囲気下における耐火物の高温観察を実施した例はなく有益な情報となり得る。 また、評価後試料を分析することで、水素雰囲気下における耐火物の挙動(反応)を推測することができ、得られた知見を耐火物業界に情報発信することで水素還元製鉄法の実現を支援する。 3)耐衝撃試験の定量化の検討 2022年度に数値解析の専門家の指導を受け、シミュレーション解析により、超高速加熱炉で熱伝導率の測定が可能であることが示唆された。この技術を応用していくため、各種耐火物の測定条件などを調査する。 |
|
4 | 企業からの受託研究 |
激しさを増す国際競争に即応できる技術開発が企業から求められる中、このニーズに直接応える受託研究は、重要な支援活動と位置付けられる。また、近年、化学、非鉄金属、プラントメーカーなど耐火物産業以外からの受託研究業務も積極的に実施している。 従来に加えて、今後、財団の新規合成原料を用いた耐火物の機能強化や開発・新設装置などを活用した耐火物の反応評価など他所ではできない研究の受託を模索すると共に、耐火物関連産業が他分野へ進出するために行う共同研究などをより一層、内容を高度化することで顧客満足度を高め、産業振興に貢献していく。 |